──“銀河系”を創り上げた男、フロレンティーノ・ペレス。
サッカークラブの会長と聞くと、裏方のイメージが強いかもしれません。でも、レアル・マドリードの会長だけはまったく違います。彼の名前を聞いて「何をした人?」と疑問に思う方もいるでしょうが、実は彼の肩書きは控えめすぎるのです。フロレンティーノ・ペレスは、単なるクラブ経営者ではなく、**サッカー界を動かす“王”**と言っても過言ではありません。
土木エリートから世界最高峰のクラブ会長へ
1947年、スペインの首都マドリードで生まれたペレスは、工学系エリートの道を歩み、スペイン最大手の建設企業「ACS」の会長にまで登りつめました。その一方で、2000年にはレアル・マドリードの会長に就任し、最初に行った大胆な一手があの歴史的な事件、バルセロナのスター、ルイス・フィーゴを引き抜いたことでした。この一撃が「銀河系計画」の幕開けとなります。
「集める」「見せる」「勝たせる」怪物会長の誕生
ジネディーヌ・ジダン、ロナウド(ブラジル)、デイビッド・ベッカム、マイケル・オーウェン。これらのビッグネームが、全盛期に同じユニフォームを着ていた――こんな事実がサッカー史上にほかにあるでしょうか?ペレスが生み出した“銀河系政策”は、単なるスター選手の寄せ集めではありません。彼は世界中の視線をマドリードに引きつけ、マーケティングから放映権、グッズ展開まで、クラブの収益を爆発的に拡大させました。
しかし、それだけに終わらないのがペレス流です。豪華なショーを演出しつつも、ピッチ上での結果を絶対に犠牲にしない。「ショーと勝利の両立」という矛盾を現実にした、数少ない会長です。
第2期政権の再始動、再び銀河系を
2009年に再び会長に返り咲くと、今度はクリスティアーノ・ロナウド、カカ、ベンゼマ、シャビ・アロンソを次々と獲得。世界はまたざわつきました。監督カルロ・アンチェロッティのもとで悲願のCL10回目、通称「デシマ」を達成し、さらにジダン政権ではCL3連覇を成し遂げました。もはや“成功”という言葉だけでは語り尽くせません。
スタジアムも“銀河級”に進化
ベルナベウの改修にも果敢に取り組み、可動式屋根、360度スクリーン、地下駐車場を備えた“未来型スタジアム”を実現しつつあります。まるでサッカー専用のIMAXシアターと称されるこの改築は、彼の「未来のクラブは箱から違う」というヴィジョンの具現化です。
“悪役”ですら物語の一部にする存在感
スーパーリーグ構想の中心人物として、また移籍市場での強気な交渉姿勢や審判問題への言及から、「悪役」と評されることもあります。でも、そのすべてがペレスのストーリーの一部。何より、マドリードが勝ち続けているという事実が、彼の評価を一段と押し上げています。
77歳になってもなお、前進し続けるペレス
年齢を重ねても彼は退かず、若きスター選手の獲得やスタジアムの完成に向けた準備を着々と進めています。次の時代へと布石を打つ姿は、世界に何人もいるわけではありません。
「世界最高のクラブの背後には、世界最高の会長がいる」——
この言葉は、まさにフロレンティーノ・ペレスのためにあるのです。彼の名は、サッカー経営の歴史に深く刻まれています。これからもその歩みから目が離せません。
こんなに強烈なリーダーがいるからこそ、レアル・マドリードは今も世界最高のクラブたり得ているのですね。ペレスの“銀河系”はまだまだ輝き続けることでしょう。
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