──スーツを着たスカウト界のカリスマ、ファビオ・パラティッチ
サッカーの移籍市場には、ピッチのスター選手の陰でチームを支える“裏方”が必ずいます。その中でも特に一目置かれているのがファビオ・パラティッチです。彼の名前を聞いて、「ああ、あのユヴェントスの…」とか「トッテナムで何かあった人だよね?」といった断片的なイメージを持つ方も多いでしょう。しかし彼の実力はそれだけじゃない。欧州サッカー界を陰で支配する、まさに**“補強職人”**と呼ぶにふさわしい存在なのです。
経歴:下積みから天才スカウトへ
1972年にイタリアで生まれたパラティッチは、現役時代は主に下部リーグでプレーしていました。スター選手ではありませんでしたが、引退後にスカウトの世界に飛び込み、その才能が一気に開花します。きっかけはサンプドリアでのスカウト経験。ここで当時の強力なフロントメンバー、ジュゼッペ・マロッタの目に留まり、二人はユヴェントスへと移籍。この移籍が彼の“伝説”の始まりでした。
「見つける」「獲る」「売る」補強の三拍子揃った天才
ユヴェントス時代、彼が手掛けた補強の数々はまさに驚異的でした。たとえば…
- ポール・ポグバは移籍金ゼロで獲得し、約100億円で売却する大成功を収める。
- アンドレア・バルザーリはわずか100万ユーロ以下で獲得し、鉄壁のディフェンダーに育て上げる。
- アンドレス・ピルロ、カルロス・テベス、サミ・ケディラらをフリーで獲得し、チームの核に据えました。
「金がなくても人は獲る」――この逆説的とも言える現代サッカーの難題に真正面から挑んだのがパラティッチ。彼の補強戦略は、資金が限られたクラブにとって救世主的存在となったのです。
トッテナム時代:文化の壁と闘いながらも成果を追求
2021年にはトッテナムに招かれ、プレミアリーグの地で新たな挑戦を開始。クルゼフスキやベンタンクールといったイタリア経由の補強を実行し、クラブの戦力強化に努めました。
しかし、ユヴェントス時代の財務操作問題が表面化し、2023年にはFIFAから活動停止処分を受けるという苦難も経験。しかし、これは彼のキャリアの終わりではありませんでした。
なぜ今も評価され続けるのか?
FIFAの処分にもかかわらず、彼を信頼するクラブは後を絶ちません。なぜなら、「彼が見つけてくる選手は本当に当たる」から。特に昨今の移籍市場が慎重になっているなかで、確実に“割安で高パフォーマンスの選手”を獲得できるスカウトは超貴重です。
パラティッチはスカウトの目利きだけでなく、価格交渉や選手の将来性を読む力に長けており、それが彼の最大の強み。補強は単なる買い物ではなく、将来への投資。彼の判断力はまさに職人芸です。
影の功労者にスポットライトを
今は少し静かな時間を過ごしているかもしれませんが、パラティッチの電話帳には世界中の代理人や選手の情報が詰まっています。彼の鋭い眼力は今も絶えず新たな才能を探し求めていることでしょう。
もしあなたが試合を観ていて「この選手、どこで見つけてきたんだろう?」と思ったら、その背後にファビオ・パラティッチの影があるかもしれません。
現代サッカーの補強戦略を語る上で、彼の存在を抜きにすることはできません。今後も彼の動向にはぜひ注目してみてくださいね。
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