──スーツを着たスカウト界のカリスマ
サッカーの移籍市場には「裏方」と呼ばれる存在がいます。その代表格がファビオ・パラティッチ。彼の名前を聞くと「あ、あのユーベの…」とか、「トッテナムでなんかあった人でしょ?」とか、断片的に知ってる方も多いかもしれません。
ですがこの人、「なんかあった」どころじゃない。
まさに欧州フットボール界の影の支配者、**“補強職人”**とでも呼ぶべき存在なんです。
◆経歴:下積みの天才、頭角を現す
1972年、イタリア生まれ。
現役時代は下部リーグの選手にとどまりましたが、引退後にスカウト業に転身した彼の才能が一気に花開きます。
きっかけはサンプドリアでのスカウト業務。
当時のディレクターだったジュゼッペ・マロッタに見出され、コンビでユヴェントスへ移籍。
ここでパラティッチの伝説が始まります。
◆「見つける」「獲る」「売る」の天才
ユーベ時代に発掘したのは数知れず。
- ポール・ポグバ(移籍金ゼロ)→ 約100億円で売却
- アンドレア・バルザーリ(100万ユーロ以下)→ 鉄壁のDFに
- テベス、ピルロ、ケディラ…全部フリーで獲得
フリートランスファーの名手として名を轟かせ、**「金はないけど人は獲る」**という現代サッカーの矛盾に正面から挑んだ男、それがパラティッチ。
◆トッテナム移籍:文化の壁と闘い、そして…
2021年、トッテナムのダニエル・レヴィ会長に請われて、プレミアリーグへ。
ノースロンドンのクラブでも、クルゼフスキやベンタンクールなど“イタリア経由の補強”を実行。
だが…その裏で問題が勃発。
ユヴェントス時代の財務操作(いわゆる“資本利益操作問題”)が表面化し、2023年にFIFAから一時的な活動停止処分。
ここでファビオ劇場は一時閉幕…と思いきや、まだ終わっていません。
◆それでも評価される理由
FIFAの処分があっても、今も彼を頼るクラブは絶えません。
それはなぜか?答えはシンプルです。
「彼が見つけてくる選手は、とにかく当たる」
トップクラブが巨額の投資に慎重になる時代、確実に“割安で当たり選手を引く”人材は超貴重。
スカウト、交渉、価格感覚、そして選手の将来性を見る目。これ全部持ってるのがファビオ・パラティッチなのです。
◆最後に:陰の功労者に光を
今は少し静かにしているかもしれません。ですが、彼の電話帳には世界中の代理人や選手が登録されており、いまもどこかで新たな才能に目を光らせていることでしょう。
補強の陰にパラティッチあり。
もしあなたが「この選手どこから見つけてきたの?」と思ったら、そこには彼の匂いがあるかもしれません。
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